スケール:CメジャースケールとAマイナースケールの違い
今回はスケール,特に平行調に関連した話です.
この話は,筆者がスケールの勉強を始めた頃を振り返ってまとめたものです. 文字ばかりですが,良ければ読んでいってください.
この記事ではCメジャースケールとAマイナースケールを代表させていますが, DメジャースケールとBマイナースケールなど,構成音が同じになる2つのメジャー・マイナースケールについても同様です.
先に結論
結論を先に書きます.
CメジャースケールとAマイナースケールは,構成音こそ同じですが,その印象はまったく違います.
当たり前に感じる方も多いと思われます. しかし,勉強の仕方(順序)によっては,この2つのスケールを同じものとして扱ってしまうがゆえ, スケールのイメージがどちらかに偏ってしまい,もう片方のスケールのイメージが持てなくなってしまいまいがちです.
そう考えるに至った経緯
変に勘がよかったのが仇になった
CメジャースケールとAマイナースケールは,構成音が全く同じです.
私がコードとかスケールの理論に触れた初期の頃は,必ずギターが手元にありました. ギターは,曲のキーを気にせず指板の形で理論を覚えられるという点でとても都合のよい楽器です. それゆえか,CメジャースケールとAマイナースケールの構成音が同じ,ということにかなり早い段階で気づきました.
早く気づいたことは悪いことではありませんでした. しかし,これら2つのスケールを同じものと捉えてしまったのが問題でした. 覚える効率が上がるという点では良かったのですが,後々アドリブに挑戦するときにかなり困りました.
素朴な疑問
私のように,先走りして本質を見失ってしまった人は他にもいると思います.
こんな問いを用意しました.良ければ自分なりに答えてみてください.
構成音が同じになるスケールが2つもあるのに,なぜ統合せず,わざわざ別の名前をつけているのでしょうか?
一応,現在の筆者の回答
2つのスケールは構成音こそ同じですが,その印象(フィール)はまったく異なります. そのため,構成音が同じだからといって,名称を統一することは音楽(芸術的な意味)的に考えて不適です. スケールは,人が感じる印象をもとに,メジャー・マイナーといった名称が与えられて区別されるようになりました.
思いつくフレーズに限界を感じた
先述のように,筆者は勉強しはじめてすぐに構成音が同じことに気づきました. それをいいことに,フレージングするときは常に次の考え方でやっていました.
Key: Amのときでも,Cメジャースケールで弾けばいい
スケールの構成音で言えば,まったく問題ありません.
しかし,問題なのはそのフィーリングです.
私は,Key:Amの上でもCメジャーのフィール乗せた,なんだかふわっと切ない感じ(個人差あり)しか出せず, Aマイナーの暗いフィールを乗せるということができなくなっていました. これに気づくのはかなり時間が経った後でした.自分を客観的に見れなかったのが原因.完全に盲目でした.
Key:Amの上でCメジャーのフィールで弾くなと言っているように感じるかもしれませんが, 別にCメジャーのフィールで弾いても何も問題ありません.弾いていて心地よかったり,曲に合っていれば,全然OKです.
私の失敗は,(何年も)Key:AmなのにCメジャーの明るい雰囲気しか出せなかったということです. 要するに,Aマイナーのフィールが自分の中から消えていたのです.
その後,何とかしてAマイナーのフィールを自分のものにしようとしました. このとき初めてわかったのが,自分はAマイナーのフィールを全然理解できていなかったこと. 全部Cメジャーのフィールで代用していたため,Aマイナースケールが与える印象というものが,よくわかっていませんでした.
Aマイナーのフィールがなんとなく掴めたあと,ギターでも練習しましたが,やはり苦労しました. 構成音が同じため,同じ運指で弾けることには弾けるのですが, 指板に対する認識も,圧倒的にCメジャーに偏っていたのです.
Aマイナーのフィールというのはまったく異なるものだったことがよくわかりました. 構成音が同じだからといって,毎回Cメジャーのアプローチで弾いてはいけないな,と思わされた練習でした.
まとめ
CメジャースケールとAマイナースケールは,構成音こそ同じですが,その印象はまったく異なります.
構成音が同じだからといって,メジャーだけ練習すればなんとかなると思ってはいけません. Aマイナースケールが持つ響きを理解し,Aマイナーとして自分の武器にすることも大切です.