音楽理論:解釈は人それぞれ
音楽理論を勉強するとは、なんでしょうか。
ここでは、音楽理論を勉強する前(途中でももちろん)に知ってほしいことを書きます。
音楽理論の解釈は人それぞれ
どう解釈して、どう使う?
音楽理論をどう解釈して、どう使うかは、人それぞれで変わってきます。
音楽理論をどう解釈するのかは、自分の好きでOKです。
数学や物理といった学問の勉強は、多くの人が同じように理解できるように教えられます。 与えられた問いをどういった手順で解くか、という点では自由がありますが、基本的には答えは一意に決まります。 一見複数の答えがあるように見えても、よく見ると同値だったりします。
しかし、音楽理論は、誰もが同じように理解できるような道しるべを用意していません。 まず、誰もがまったく同じように理解する必要はありません。 そして答えの良し悪しは、それを聴いた人がそれぞれ決めるものです。 これは答えが一意に決まる学問とは大きく異なる点です。
つまり、音楽理論を勉強しても、答えを得られることは保証できません。 それは、答えは自分で決めるものだからです。 音楽理論は、答えを決めるための参考・ヒントにはなりますが、直接答えが載っているわけではありません(重要)。 自分の中の音楽経験をもとに、自分なりの答えを出すことが大事です。
ちなみに筆者は音楽大学の出身ではないし、誰かから直接理論を教わった経験もありません。 本やインターネットを使って自分で勉強しました。 それでも音楽理論についてまとめることができるのは、音楽理論の解釈が人それぞれという特性のおかげでしょう。
そして、他人の音の使い方、すなわち理論の解釈のしかたを吸収していくことで、自分の理論を発展させていくと良いでしょう。 他人との会話は音楽理論に限らず、良い刺激になります。
こうしなければいけないというルールはない
音楽理論は、ある種の「こうするといいよ」という無難なセオリーの集合体とも言えます。 そしてそのセオリーは音楽ジャンルごとに異なります。 たとえば、G7->F (Key:C) という進行はクラシックではタブーですが、ロックでは当たり前のように使われています。
クラシックの理論をかじると、この音の後は必ずこう解決する(ドミナントモーション)とか、次の音との音程は離れすぎてはいけない(対位法)とか、 必ずこうしなければいけないといった書き方のルールが見つかります。
しかし、ルールを破った音楽を作っても全然問題ありません。 そのルールが正義と言われてた時代の人にとってはダメなんだろうけど。
人が(特に自分が)気持ちよく感じるのであれば、それが学んだ理論に反していたとしても、使ってよいのです。 むしろ、学んだ理論を自分の都合のいいように書き換えるくらいでいいのです(言い過ぎか?)。 そこまでできれば自分の理論が実を結んでいると言えるでしょう。
ルールに従うということは、言い換えれば、本来自由に作れるはずの音楽に制約を加えることです。 私としては、音楽に対して自由に(≒柔軟に)アプローチできる方がいいと思います。 学んだルールで自分を縛りつけないように気をつけましょう。
音楽理論を学ぶときは、厳格なルールを見つけても「そういうルールもあるんだな、一応覚えとこ」程度で済ませておくのが良いと思います。 厳格なルールにとらわれるあまり、自由に音楽が作れなくなってしまうなんていうのは本末転倒です。
必ず、自分なりに解釈して、自分の中で理論を組み立てていきましょう。
音楽理論を学ぶメリット
音楽理論はコミュニケーションツールになり得る
先述のように、音楽理論をどう解釈してどう使うかは、個性を出すという観点で自由であることが望ましいです。
ただ、音の呼ばれ方とか、こういう音の使い方をこう呼ぶ、といった用語の類は、理論を学んだ人全員が同じように使っています。 それが好きか嫌いかはその人次第ですし、オリジナルの名称をつけている人もいるかもしれませんが、大体用語は誰もが同じように理解できます。
音楽理論(特に楽典)の知識は、記述言語としての役割があるため、ミュージシャンとのコミュニケーションツールとして機能します。 難しいこと言ってますが、楽譜が書けたり、音の名前がわかると、どういう音を使っているのか通じますよね。そんなものです。 何も知らなくても感覚だけで音楽はできますが、知っておくとコミュニケーションの手段が1つ増えるので便利です。
音楽体系の土台になる
自由にアプローチするというのは必ず覚えてほしいことですが、 基礎の基礎となる知識は、自分の理論を組み立てていく上での土台になります。
基礎がわかっていれば、応用も手をつけやすくなります。
まとめ
音楽理論は、音楽体系の土台になりますが、直接答えを教えてくれません。
人から学んだ理論は、自分なりの答えを出すための参考であって、答えは自分で作るものです。 自分なりの答えは個性そのものです。 個性を大事にしていきましょう。